ザ・スタンド

2002年5月3日
スティーヴン・キングの長篇ホラー。

いまやちょっと下り坂のキングだけど、
これは全盛期の作品のリメイク版。
とんでもない長篇だけど、ぐいぐいくるので読むのに苦痛はまったくなし。
やはり若いころのキングの作品はすごい。

ストーリーは、近未来SFとファンタジーをまぜたような内容。
軍部が開発した、細菌兵器がもれてしまい、ほとんどの人間が死滅する。
でも、特異な体質をもった人たちが生き残っていて、夢に出てくるおばあさんの呼び掛けにこたえて集まってくる。
ところが、このおばあさんを「善」の象徴だとすると、「悪」の象徴のような「闇の男」が存在し、
こいつも人々を集め、世界を恐怖で支配しようとしている・・・。
すべてが闇に支配されないために、選ばれた人々は自分の身を犠牲にして闇の男にいどむ・・・、と、いうようなお話。

いろんなSF小説と、『指輪物語』みたいなファンタジーとをぱくった、なんていうか、設定そのものは陳腐な作品(爆)

でも、そこはさすがキング、というか、キャラクタの書き込みかたがすごい。
登場人物すべてに愛がわく。
しかも、なんていうか、登場人物の架空の人生に、ある種のリアリティがある。
これはキング作品すべてに共通する魅力だけど、この作品もしかり。
闇の男に魅せられるナディーンという女性には、ほとんど自分を見てしまいました(笑)
はじめナディーンを愛していたラリーという男も、すごいタイプだし、よけいだったのかも(笑)
ニックという聾唖の青年が
死んだ後も、知的障害のある友人の枕辺に立って
仲間を守ろうとする場面では思わず泣いてしまいました。
ニックだけでなく、ほとんどの登場人物が闇の男の犠牲になってしまうので、そういう意味では悲しい話なんだけど、
読後感は爽やか。

やっぱキングはいい。
駄作もいっぱい書いてくださったけどね。

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